富戸の海坊主。伊豆には妖怪伝説が結構あるのだ!

富戸の海坊主。伊豆には妖怪伝説が結構あるのだ!

『海坊主(うみぼうず)』って聞いたことありますよね?
※『海法師(うみほうし)』とか『海入道(うみにゅうどう)』と言われることもあるみたい。
江戸時代くらいから伝承されている妖怪で、だいたいは漁師さんの船を沈めちゃうとか悪さをするイメージがあるかと思います。
そんな海坊主伝説。
伊東の富戸にもあるんです。
どんなお話かみてみてね。

●富戸の海坊主のお話

漁師の若者吾平は、ばあちゃんと二人暮らしです。
吾平が七歳のとき、青ゲタナライ(台風前に吹く強い風)でおっとうもおっかあも海の底に沈んでしまったのです。
その後は漁師の仲間に助けられ、一人前の漁師になりました。

今日も仲間と一緒に舟を出し、夜イカを釣るための餌の鯖を釣りました。吾平はばあちゃんが縫ってくれたイカボッコを着てきました。
夕日が沈み、いよいよ夜イマズメ(夜通し)のイカ漁が始まりました。イカの群れは舟の周りいっぱいです。
吾平はサバを餌にした竿をイカの群れに投げ込み、次々と釣ってゆきます。
イカは釣り上げられるとシューと塩水や墨を吐きますが、ばあちゃんが作ってくれたイカボッコはその塩水や墨を防いでくれます。

ところが群れをなしていたイカが、如何した訳か突然いなくなったのです。如何なっているのか仲間に聞いてみようとしたその時です。
とてつもない大きな水音がし、姿を現したのは大きな大きな海坊主です。
吾平の頭の上から覆いかぶさりながら「杓を貸せ、杓を貸せ」と言いながら舟に近付いてきます。
杓とは船底に溜まった海水を汲んで捨てる柄杓の事です。
大波を受けた舟は今にも沈みそうです。
吾平は驚きのあまり声も出来ません。慌てて頭の上で手の平を振り、柄杓を持っていない事を知らせました。
それを見た海坊主は、又又もの凄い水音をさせて海の中に消えてしまいました。

吾平はもう生きた心持ちがしません。何処をどう漕いだのか分らないまま、心配した仲間が火を焚いて待っていてくれた浜に着きました。
浜に着いた吾平は、仲間から何を聞かれても船底に腰を抜かしたまま何もしゃべる事が出来ませんでした。
仲間に家まで連れてもらって帰った吾平、三日目にやっと「海坊主」を見た話を仲間にする事が出来ました。けれども、吾平は海坊主が怖くて暫らく漁には出られませんでした。

そこで漁師仲間が集まって相談した結果、子供に助けてもらう事にしたのです。
子供達はセーの神さん(賽の神)にお願いする事にしたのです。
セーの神さんは、子供達のお願いは何でも叶えてくれる神さんです。
子供達はてんでに棒切れを持ってセーの神さんを取り囲み「ナーム、セーの神さん海坊主見て臆病神に取り付かれた吾平さんを治しておくれ」と言いながら、セーの神さんの頭をめちゃくちゃ叩きました。何度も何度も叩きました。

するとどうでしょう。
布団をかぶって震えていた吾平がガバッと起き上った上に、今夜からイカ漁に出ると言い出したのでです。
その夜、吾平はイカの大漁をしたのです。
そして翌日、助けてくれた子供達にせがまれるまま、海坊主に出会った時の話をしてやりました。

それから後
「これだけは覚えておけよ。漁に出て海坊主に出会っても柄杓だけは渡すでねえぞ。どんなにしつっこく言われても決して渡すんでねえぞ。万一渡したら最後、その柄杓で海の水を舟に投げ込まれ、舟は沈められてしまうぞ」と漁師仲間の間では誰言う事無く言い伝えられていますとさ。

というお話でした。
漁師は知らない妖怪にひしゃくレンタル禁止だよって事ですね。

ちなみに、僕のお友達によしただ君ってのがいるんですけどね。
『富戸の海坊主』を名乗ってるんですよ。
でもね。彼の場合は、坊主じゃなくてハゲなんですよ。
つまり、毛が生えてこないんですよ。
「お前は、坊主じゃなくてハゲだろ。」
って心の中で思っております。
坊主は基本剃ってるだけですから、その辺間違えない様にして欲しいですよね。

というところで今日はおしまい。

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バティストゥータバタ

東京都在住、伊東市出身の38歳独身。趣味は流木でいろいろ作ることで特技は悪ふざけ。仕事は音楽関連で音楽ライターなんかもやってます。地元伊豆の魅力を伝えるためブログ記事を書いてます。よろしくね。

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